【男のスキンケアは自己投資】 Vol.9  ベタつくのは自分のせい? 使わないのはもったいなさ過ぎる 大人男性にこそ必須の“クリーム”ケア

JOURNAL | 読みもの 2021.11.24 Facebook Twitter はてなブックマーク

Vol.9
ベタつくのは自分のせい?
使わないのはもったいなさ過ぎる
大人男性にこそ必須の“クリーム”ケア

みなさん、こんにちは。男性美容研究家の藤村岳です。リニューアルを迎えてから2回目のこちらのコラム。今回のテーマはアンチエイジングに必須なクリームを使ったケアです。アンチエイジングとは言いましたが、昨今の美容業界、ひいては社会全体においてエイジングに対して“アンチ”という言い方は主流ではなくなってきていますね。

年を重ねることは、みんなに平等ですし、それに無理に抗うのもカッコ悪い。そこで、“スローエイジング”なんて言い換えをしていたりします。年齢を受け入れつつもムダに老けるのはやめましょうという感じ。まあ、これも苦肉の策というか苦しい言い訳に聞こえなくもありませんが……。とはいえ、ムダに老ける必要なんてありません。みずみずしく、清潔な見た目でいたいならクリームを上手に使うといいんです。

さてここで、一般的な保湿剤の質感で軽い順から並べてみると、

化粧水<ジェル<乳液<クリーム<バーム

こんな感じでしょうか。

スキンケアにおけるクリームの役割

男性はついクリームと聞いただけで拒否反応を示す人が多いもの。そういう人ほど「ベタつく」「重い」「必要ない」など、使わない言い訳をいろいろと並べ立てます。もちろん、クリームの効用を知っていて、普段から使っている人はそんなことを言わずに必要あらばと上手に採り入れています。ちなみにボクはクリーム大好き。秋から冬にかけては欠かせないアイテムで、朝晩しっかりと塗り込んでいますよ。

クリームの役割は、乳液などよりも油分が多く含まれていてリッチな質感なので、しっかりと肌に密着して水分が蒸散するのを防ぐこと。いくら化粧水で潤いを補給しても、水分だけでは肌の保湿は心もとない。潤いを逃がさないためのフタの役割をするのがクリームなんです。

エイジングケアに欠かせないクリーム

ちなみにエイジングのためのクリームといってもいろいろあります。まず、普通の保湿剤に比べてリッチな成分が配合されているタイプ。深いシワに対しては「ナイアシンアミド」などが入っていたり、シミにだったら「コウジ酸」など。また、年を取ると乾燥しがちなので保湿力がより高かったり、たるみの元は皮膚と筋肉なのでそこにアプローチするものであったり、老化の権化である酸化や糖化に効かせるものであったり、と様々。

ここで少し専門的なお話。化粧品の有効成分には親水性と親油性があります。ビタミンなどの栄養素もそうですよね。例えば抗酸化作用のあるビタミン類だと、水溶性のビタミンCと油溶性のビタミンEがあるように水と相性がいいものと油と相性がいいものがあります。そして、クリームは油分がベースと言いましたが、この場合、油溶性の成分が配合しやすいという利点があります。エイジングケアを考えたときにどうしても水と相性のよくない成分も入れやすい。

とはいえ、化粧水のすべてが水、クリームのすべて油というわけではありません。マヨネーズのように水の中に油が入っているものや、バターのように油の中に水が入っているものもあります。それぞれをO/W、W/Oとして識別していて、質感や配合できる有効成分が異なるというワケ。

ここではわかりやすいように水と油として、かなり単純化してお話ししていますので、化学の知識に明るい方は化粧品における乳化や界面活性について調べるとより理解が深まると思います。それがわかると、「ははあ、これはマヨネーズタイプだな」とか「バターのようにリッチなのか」と化粧品の見方が変わることでしょう。これって消費者というより研究者っぽいアプローチですかね?

上手なクリームとのつきあい方

で、肝心のクリームのお話ですが、毛嫌いせず一度使ってみて欲しいのです。特に30代後半くらいからは秋冬の必須アイテムになるはず。人は誰もが年を取っていくわけで、それとともに皮膚内の水分が減ってきます。多くの男性の皮脂分泌量は20代~50代くらいまであまり変わりませんが、水分量は減ります。潤いが減ると相対的に皮脂が多いと錯覚し、それで自分の肌はベタつくと思い込んでしまいます。

脂っぽいからクリームなど油分の多いコスメを使わないという人がいますが、それは大きな間違い。前述したように洗顔後はまず潤いを化粧水で補給し、皮脂に先回りしてクリームでフタをするのが正解。先回りすれば、体は皮脂を余計に出さなくて済みますから。

やがてもっと年齢が進むと皮脂さえ十分に分泌できなくなるのです。何もしていない老年期の男性が、そこでいきなり「スキンケアを!」と言われてもかなり難しい。だって、ルーティン化されていない生活習慣を70歳からやれと言われてもどだい無理な話です。なので、初期老化を感じる30代後半からクリームでのケアに慣れておきましょう。

使い方はいきなり塗り込むのではなく、適量を分散させて肌に塗布すること。5点置きといって、おでこ、両頬、鼻の頭、アゴにクリームを乗せてそこから伸ばします。皮脂分泌の活発なおでこや鼻のTゾーンは少なめに、乾きやすい頬や口まわりは多めにと顔の中で量のメリハリをつけると、嫌なベタつきを回避できますよ。

皮膚の乾燥が招く様々な弊害

乾燥によって皮膚のバリア機能が落ちると、様々な感染症リスクが高まります。ウイルスや細菌の侵入が容易になってしまうのですから。ということは、ある程度若いうちからきちんと知識を得て、保湿を行う意義を自分の中に確立することはとても大切。やや大げさですが、“クリーム使いは人生100年時代を健康に、そしてスマートに生きるための行為”なんですね。

若い頃は水分保持機能もしっかりしていて、皮膚内の潤いもたっぷり。それが中年になって水分が蒸散し、表面上は皮脂過多に見えても内側は乾くインナードライになります。そこで適切に“化粧水+クリーム”という年齢に応じたケアをしてきた人は、何もしていない人やクリームを使ってこなかった人に比べて健康という点にておいて圧倒的な差をつけられるのです。

秋から始める、初めてのクリームケア

春夏はサッパリとした“化粧水+ジェル”のケアでもいいですが、そうですね、11月から3月まではクリームにスイッチするのが大人のたしなみ。一度、クリームによる“守られ感”を味わってしまうと、使わなかったときの不快さに驚くはず。寒く乾燥した冬、起床後に肌のツッパリを感じていた人はクリームを使った翌朝はそれがないことに気づくはず。それでも貴兄はクリームを使いませんか?

一歩踏み出す勇気があれば、きっと価値観が変わります。冒頭に申し上げたように“アンチエイジ”として、若さに執着する必要はないけれど固定観念や思い込みに囚われず、年齢に応じたケアを柔軟に取り入れることができる“心の若さ”はいつまでも保っていたいものです。

藤村 岳(ふじむら がく)
藤村 岳
ふじむら がく
男性美容研究家
1973年、東京生まれ。大学卒業後、植物関連の雑誌・書籍の編集を行い、ハーブやアロマテラピーの知識を得る。そんな中、男性が読む美容記事を、美容ライターという毎日ヒゲを剃らない女性が書くことに違和感を覚え、独立。シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。総合情報サイト『All About』にて「メンズコスメ」のガイドも務めている。数々のテレビ番組やラジオなどの出演のほか、講演・イベント・コスメの監修やブランディングなども行う。

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